
リーク感度の日常点検と校正に関して
圧力・流量計関係
その他
差圧検出方式 | ゲージ圧降下方式 | |
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感度 | テスト圧にかかわらず、差圧センサは微差圧レンジが使用できるため高精度の漏れ検査が出来ます。 | テスト圧に応じたレンジの圧力センサを使用しますので圧力レンジが高くなるに従って分解能が低くなり漏れ検出感度が悪くなります。 |
温度変形影響 | ・封入エアの温度上昇や気温変化の影響はマスタとの比較のため相殺され小さくなります。 ・分解能が高いので、検出時間が短くても測定可能です。従って加圧安定時間を長く取ることが出来ますのでエア温度や変形などによる誤差の少ない検査が出来ます。 |
・封入エア温度上昇や気温変化の影響は誤差となって現れます。 ・感度が低いため検出時間が長く必要になります。そのため加圧安定時間を短くしますと、エア温度や変形の影響など誤差として多く出るようになります。 |
互換性 | ・テスト圧の変更があっても共通の差圧センサが使用できます。 | 最適な感度を得るためには、テスト圧に応じたレンジのセンサを使用しなければなりません。 |
1 atm.mL/s またはatm.mL/min1秒間または1分間に大気中に漏れる空気の容積。atm.は省略することが多い。
1 μgr/s またはμgr/min1秒間または1分間に大気中に漏れる空気の重量。
1 μgr(マイクログラム)⇒0.83×10-3mL(1atm 20℃において)
1 Lusec(ルーセック)1 Lの真空容器において毎秒1μHgの圧力上昇のある漏れ量。
1 Lusec=1/760 mL/sec≒1.32×10-3mL/s
1 Torr・L/sec1 Lの真空容器において毎秒1 Torrの圧力上昇のある漏れ量。
1 Torr・L/s=1000 Lusec≒1.32 mL/s
1 Pa・m3/s
1 Pa・ m3/s = 9.869 atm mL/s
1atm・mL/s = 1.013 × 10-1Pa・m3/s
平衡及び検出工程において、漏れにより生じる差圧ΔPはオートゼロ動作後、下式にて演算され、漏れ量(リークレイトmL/s、またはmL/min)の単位で表示されます。
Q:リーク量(mL/s)
K(Ve):リーク係数(等価内容積mL)
ΔP:差圧(Pa)
ΔT:時間(s)
検出工程で漏れ量の表示が変化せず一定となればそれ以上の検出時間は不要となり検査時間短縮も可能です。
[メリット] | [デメリット] | ||
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加圧法 | ・正圧を加え検査する。 ・対象:使用時に内圧が高くなるワーク、内部に液体が入るワーク |
・検査圧力を高くすることにより検出力を高くできる。 ・気泡目視による漏れ箇所のチェックができる。 |
・温度変化、変形影響等の圧力変化影響を受けやすい。 |
減圧法 | ・真空引きを行い負圧によって検査する。 ・対象:負圧で使用されるワーク、テスト時に温度変化や変形のあるワーク。 |
・温度変化、変形影響等の 圧力変化要因を受けにくい。 | ・正圧に比べ検査圧力が制限される。また同じ穴径でも漏れ量が小さくなる ・水や油による蒸気圧の影響を受ける。 ・漏れ箇所のチェックができない。 |
方式 | [メリット] | [デメリット] | |
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マスタ比較 | ・方式:基準となる固定したマスタとを比較する ・対象:一般のワーク |
・設定以上の漏れは見逃さない。 ・不良率が高いワークでも使用できる。 |
・同時比較に比べて、ワークの温度変化や変形、治具シールの変形影響を受けやすい。 |
同時比較 | ・方式:ワーク同士を比較テストする ・対象:不良率が低いワーク、温度影響や変形影響を受けるワーク |
・温度影響や変形に起因する影響を受け難いため検出精度が高くなる。 ・検査時間が短縮できる。 |
・同程度の漏れ品が重なると検出できない。 ・2組の検査治具が必要となる。 ・不良率が高い場合は使用できない。 |
マルチ比較 | ・方式:2個のワークと1個のマスタでマスタ比較と同時比較を組み合わせたテスト ・対象:温度影響や変形影響を受けるワーク |
・検査時間の短縮ができる。 ・同程度の漏れ品が重なっても検出できる。 ・不良率が多少高くても使用できる。 |
・測定系の切り換えのため温度上昇、変形、漏れがなく信頼性の高いバルブが必要になる。 ・2組の検査治具が必要になる。 |
(1)等価内容積
ワークとテスタを含む測定系全体の内容積により、漏れによる差圧変化量は異なります。また、計測時間にも大きく関連します。
エアリークテスターではこの内容積として、計測系全体の圧力変動要因(ワークや差圧センサの内圧による容積変化)の影響を考慮した等価内容積(Ve)と呼ぶ係数を使用します。等価内容積は次式を用いて算出することができます。またエアリークテスターLS-R902では、オートリークキャリブレータ(ALC)、またはリークマスタを使用して直接Ve値を計測することができます。
Ve=Vw+Vt+{Ks(1+Vw/Vm)+Kw}(101.3+P)
Ve:等価内容積(mL)
Vw:ワークと配管の内容積(mL)
Vt:テスタ内容積(mL) Vt = 9mL
Ks:圧力に対するセンサの容積変化率(mL/kPa)
Kw:圧力に対するワークの容積変化率
P:テスト圧(kPa)
上記の条件のとき
Ks(1+Vw/Vm)+Kw=2Ks
l Ks=0.01mL/kPaのとき
Ve=Vw+Vt+0.02(101.3+P)
l Ks=0.005mL/kPaのとき
Ve=Vw+Vt+0.01(101.3+P)
(2)漏れ量
等価内容積と漏れ量Qの関係式
Q :漏れ量(mL/min)
ΔP:差圧(Pa)
Ve:等価内容積(mL)
T:検出時間(s)
加圧・平衡時間の求め方
実験や立ち上げ調整時に計測時間を設定するときは、まずワークや治具に確実に漏れのないことを確認します。その後、最初は加圧時間を十分に長くとりデータ取りを行います。
徐々にこの時間を短くしてデータがゼロ近くで安定している最短の加圧、平衡時間を求めます。
目安の時間:
インテリジェント1エア回路のとき(対象リークテスター型式: LS-1866、LS-R700など)
加圧時間(CHG):平衡時間(BAL)= 3:1 又は 4:1
インテリジェント2エア回路のとき(対象リークテスター型式: LS-1881、LS-R902、LS-R700など)
加圧時間(CHG):平衡1(BAL1):平衡2(BAL2)=5:5:1
注意:ワーク容積が小さい時は、等圧タイムは不要です。BAL1=0秒に設定します。
これらの時間は通常、実際の機械装置治具の状態やワークの特性に従いますので、実験により求める必要があります。なお、過去に実績のあるワークについては推定することもできます。
必要な加圧安定時間(加圧時間CHG+平衡時間BAL)↓
低圧←テスト圧→高圧
※上図に検出時間は含んでいません。
※要求される精度によっても時間は変ります。
(1)原理・構造
(マスタ比較方式ではリークのない良品ワークをマスタとして使用しますがマスタチャンバはこのマスタに代るものです。)
ワークが加圧されると内部のエアは急激に温度上昇しますが、ワーク内面との熱交換を行うことにより温度は下降します。このときの温度の特性は内容積と表面積の割合の影響を大きく受け、表面積が大きいほど温度の安定は早くなり圧力も安定します。マスタはワークとの差圧で捉えた場合、この温度の下降カーブにより生じる圧力変化を打ち消す働きをもちます。
マスタチャンバはフィンの枚数や並べ方を変えることにより、容積と表面積を変え温度の下降カーブをワークに合わせることができます。
(2)マスタチャンバを使用するメリット