(1)差圧式圧力降下方式
空気圧を被検査物(ワーク)に印加後、内圧の変化を計測して漏れを判定する方法です。
漏れのない基準品(マスター)を用意、ワーク、マスターに同時に加圧します。高感度の差圧センサーにより、漏れによるワーク内の圧力変化をマスター内の圧力変化との差として検出します。
(2)エアリークテスターの動作
A起動:ワークをクランプシール後に起動信号を入力します。
B加圧行程(CHG):ワーク、マスターにテスト圧を印加する行程です。内圧がある程度安定するまでの時間が必要です。
C平衡行程(BAL):テスター内の弁AV1、AV2を閉じて検査部を閉回路にし、ワークとマスター間の圧力差を検出します。この行程は弁閉止後の圧力の変動が安定するのを待つ時間であると共に、大漏れを検出する行程にもなります。
D検出行程(DET):微小な漏れの検出を行います。
E排気・完了:合否判定信号を出力、テスター内のエアブローを行うと共にワーク内エアーを排気します。
オートリークキャリブレーターについては設定の基礎の「リークキャリブレーターの実際」を参照願います
電磁弁記号 | DL1遅延 | CHG加圧 | DL2遅延 | BAL平衡 | DET検出 | DL3排気 | END完了 |
SV1 | |||||||
SV2 |
(3)ワーク内圧の変化と漏れ量の表示
平衡及び検出行程において、漏れにより生じる差圧ΔPはオートゼロ動作後、下式にて演算され、0.1s毎に漏れ量(リークレイト mL/s、またはmL/min)の単位で表示されます。
検出行程で漏れ量の表示が変化せず一定となればそれ以上の検出時間は不要となります。
(1)原理、概要
受圧部には磁性フラットダイアフラムを使用し、差圧による微小変位をインピーダンス変化として検出します。過圧に対しては、ダイアフラムを壁面で保護するので破損することはありません。
(2)概略特性
ゲージ圧降下方式は圧力を封入後、圧力降下量を圧力センサーの変化量として直接表示する方式です。
差圧検出方式 | ゲージ圧降下方式(直圧検出方式) | |
感度 | ・テスト圧に拘らず、差圧センサーは微差圧レンジが使用できるため常に精度の高い漏れ検査ができます。 | ・テスト圧に応じたレンジの圧力センサーを使用するので、圧力が高くなるに従って分解能が低くなり、漏れ検出感度が悪くなります。 |
温度 | ・封入エアーの温度上昇や気温変化の影響はマスターとの比較のため相殺され小さくなります。 ・分解能が高いので検出時間が短くても高い検出力が得られます。 |
・封入エアーの温度上昇や気温変化の影響は誤差となって表れます。 ・感度が低いため検出時間を長くとる必要がある。検査時間が一定の場合、検出時間が長くなれば加圧安定時間が制限され、誤差を大きく含む検査になります。 |
温度や変形の影響 |
加圧初期は、断熱変化や容積変化の影響による圧力変動(誤差)を多く含みます。 |
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互換性 | ・テスト圧の変更があっても共通の差圧センサーが使用できます。 | ・最適な感度を得るためにはテスト圧に応じたレンジのセンサーを使用しなければなりません。 |
下記の各種の方式を考慮し組み合わせて、対象ワークに最も適した方式を選択します。
(1)テスト圧による選択
メリット | デメリット | ||
加圧法 | ・正圧を加え検査する。 ・対象:使用時に内圧が高くなるワーク、内部に液体が入るワーク |
・検査圧力を高くすることにより検出力を高くできる。 ・気泡目視による漏れ箇所のチェックができる。 |
・温度変化、変形影響等の圧力変化影響を受けやすい。 |
減圧法 | ・真空引きを行い負圧によって検査する。 ・対象:負圧で使用されるワーク、テスト時に温度変化や変形のあるワーク。 |
・温度変化、変形影響等の圧力変化要因を受けにくい | ・正圧に比べ検査圧が制限される。また同じ穴径でも漏れ量が小さくなる。 ・水や油による蒸気圧の影響を受ける。 |
(2)ワークの形状による選択
メリット | デメリット | ||
内圧検出式 | ・ワークの内部を計測する。 ・対象:一般のワーク、開口部分が多いワーク |
・治具費用が外圧式より安価。 ・中子を利用して内容積を少なくすると高感度になる。 |
・テスト圧が高くなると温度変形の影響を受けやすい。 |
通常の方式です。検出精度向上とテスト時間短縮のためワークの容積はできるだけ小さくなるよう中子を入れます。 |
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外圧検出方式 | ・ワーク内に加圧し外側を治具で囲い空隙の圧力変化を計測する。 ・対象:開口部が少なく凹凸の少ない形状のワーク。 |
・テスト圧に拘らず、計測時間が短く検出精度が高い。 ・テスト圧が高い時は特に有利になる。 |
・治具費用が比較的高価になる。 ・開口部のシールが困難となり目視によるチェックもできない場合がある。 |
内容積の大きいワーク、カプセルによるシールが簡単なワークは、漏れが出てくる側を大気圧で測定すると検査時間が短縮されます。 |
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容積検出カプセル式 | ・大漏れワークはカプセルとの空隙容積差を差圧におきかえて検出。 ・対象:エアーの導入孔がない密封品。 腕時計、電子部品等。 |
・大漏れから微小漏れまで検出が可能で、不感帯がない。 ・小さいワークでも検査が可能。 |
・カプセルが必要となる。 ・ワークにある程度の内部空間容積が必要。 ・大漏れを検出する機構が必要となるためテスターの価格が上がる。 |
密封品のワークに対して使用します。この方式はワークの外周を加圧、または真空として測定するものです。とくに大リークを検出する行程が追加されており、加圧と同時にワーク内部がテスト圧に達するような大リークも検出します |
(3)その他の検査方式応用例多数個取り方式
2室同時測定方式